2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧
◦冬うらら豆撰る音の軽さかな (ふゆうららまめよるおとのかるさかな
◦綿虫の飯ほしければまま食わしょ (わたむしのままほしければままくわしょ)
◦天狼や世に現ればまた見え難し (てんろうやよにあればまたみえがたし)
◦眥のしおと乾きて夜冴へぬ (まなじりのしおとかわきてよるさへぬ)
◦驟雨きて狐嫁取る冬菜畑 (しゅううきてきつねよめとるふゆなはた)
◦木守柿ここにも一つ神の宿 (きもりがきここにもひとつかみのやど)
◦雑炊にきのうの顔の崩れけり (ぞうすいにきのうのかおのくずれけり)
◦枯れ尾花芝居は幕の降りるもの (かれおばなしばいはまくのおりるもの)
◦蒸飯に一汁一菜箸ひとつ (むしめしにいちじゅういっさいはしひとつ)
◦葱刻む窓の幾たび変はりけり (ねぎきざむまどのいくたびかわりけり)
◦箸とれば箸により来て冬の蠅 (はしとればはしによりきてふゆのはえ)
◦易の燭へ生命線の悴みぬ (えきのひへせいめんせんのかじかみぬ) 街の占師をテーマにして3連続作ってみました。 現実に呼び止められた経験は数年前の渋谷の街でした。私は文化村である「ふじ子・ヘミング」のコンサートを聴くためにしっかり歩いていたと思…
◦凩のビルの死角に易見る灯 (こがらしのビルのしかくにえきみるひ)
◦手相見に肩叩かるる冬の街 (てそうみにかたたたかるるふゆのまち)
◦日の射して一面陰のない冬田 (ひのさしていちめんかげのないふゆた)
◦寒潮の鷺のぬき足漁法かな (かんちょうのさぎのぬきあしぎょほうかな)
◦納得のひとり暮らしよ冬の山 (なっとくのひとりぐらしよふゆのやま) ◦それ以上太れば入れぬ竃猫 (それいじょうふとればいれぬかまどねこ) なんて、わたしが言われたらどうしましょう。
◦闇を切る電車の長き冬灯 (やみをきるでんしゃのながきふゆともし) 夜の長いこの頃は、ベッドの中で下の海辺を走る電車の音を聞く回数が多くなりました。 「銀河鉄道」の電車に乗って銀河の世界を旅するのも悪くないと思っています。
◦芭蕉忌や時雨れて旅の景滲む (ばしょうきやしぐれてたびのけいにじむ) 陰暦十月十二日、松尾芭蕉が大阪御堂筋の花屋方で、元禄七年(1694)に没した日。享年51歳。 ◦時雨忌も翁忌もひとつ星かな (しぐれきもおきなきもひとつほしかな)
◦大根の抜かれて土の冬ざるる (だいこんのぬかれてつちのふゆざるる)
◦夜着の中抱き寄せた子の夢のさき (よぎのなかだきよせたこのゆめのさき)
◦子らの声恋ひしと思ふ夜寒かな (こらのこえこいしとおもうよさむかな)
◦枯れ野ゆく夢の吾より子を哀れ (かれのゆくゆめのわれよりこをあわれ) 上8文字と下9文字の上下に分けて作りました。
◦時雨るるや石蕗の黄花の庭ほのか (しぐるるやつわのきばなのにわほのか)
◦枯葎あかるきところ風の道 (かれむぐらあかるきところかぜのみち)
◦初しぐれ本閉じられぬまま暮るる (はつしぐれほんとじられぬままくるる)
◦文化祭「フィンランディア」に始まりぬ (ぶんかさいフィンランディアにはじまりぬ)
◦枸橘の実に棘硬き冬隣 (からたちのみにとげかたきふゆどなり)
◦小春日や絵本を買って帰る道 (こはるびやえほんをかってかえるみち)
◦鉄冷えに十一月の川痩せる (てつびえに十一がつのかわやせる)