2016-01-01から1年間の記事一覧
○田作りの甘く連なる年用意 (たつくりのあまくつらなるとしようい)
○日記買う千年朽ちぬ紙らしき (にっきかうかせんねんくちぬかみらしき)
○旅の途中餅つきの杵持たされし (たびのとちゅうもちつきのきねもたされし)
○年の暮れ老棋士の歯は抜けてをり (としのくれろうきしのははぬけており) 加藤一二三
○数え日や呆けの行状聞いてをり (かぞえびやぼけのぎょうじょうきいてをり)
○極月や長編小説読み終へし (ごくげつやちょうへんしょうせつよみおへし)
○息白し空也は仏吐きにけり (いきしろしくうやはほとけはきにけり)
○ケーキ持て来るらし喜寿のクリスマス (ケーキもてくるらしきじゅのクリスマス)
○抽斗に名も無く貧しき日記果つ (ひきだしになもなくまずしきにっきはつ)
○冬至粥また吹き零す粗忽者 (とうじがゆまたふきこぼすそこつもの)
○山盛りの冬至南瓜夜明け待つ (やまもりのとうじなんきんよあけまつ)
○冬暁や囲いの鶏を起こし行く (とうぎょうやかこいのとりをおこしいく)
○今落ちし先が浄土か冬茜 (いまおちしさきがじょうどかふゆあかね)
○戦ありし海に片目を鰤のあら (いくさありしうみにかためをぶりのあら)
○窓からの眺めが自慢冬の海も (まどからのながめがじまんふゆのうみも)
○霙来てロシア遅れて現れる (みぞれきてロシアおくれてあらわれる)
○車まで送って知りぬ山の雪 (くるままでおくってしりぬやまのゆき)
○討ち入りの首下げ来たり大根かな (うちいりのくびさげきたりだいこかな)
○雑炊や威儀を正せぬ男たち (ぞうすいやいぎをただせぬおとこたち)
○図書館は男の殿堂煤払い (としょかんはおとこのでんどうすすはらい)
○村の日の出しゃばりおよね枇杷の花 (むらのひのでしゃばりおよねびわのはな)
○はりはりの水菜が旨し鯨鍋 (はりはりのみずながうましくじらなべ)
○明け六つの鐘聞く窓に冬の星 (あけむつのかねきくまどにふゆのほし)
○海時雨る窓辺の席にパスタ待つ(うみしぐるまどべのせきにぱすたまつ)
○勝つまでは欲しがりません開戦日 (かつまではほしがりませんかいせんび)) 真珠湾攻撃の日
○荒巻の尻尾ケースをはみだしぬ (あらまきのしっぽケースをはみだしぬ)
○銘酒らし熨斗かけられし十二月 (めいしゅらしのしかけられし十二がつ) お歳暮シーズン スーパーに行くと急に賑やかになった。普段見慣れた棚がすっかり様変わりして美しくみえるが、お歳暮の贈答用品ばかりで夕食の総菜は隅の方へ追いやられて、うっかり…
○大根の直に伸びし十耕土 (だいこんのすなおにのびしじゅっこうど) 野菜の時間 NHKの野菜の時間」という番組を観ていたら、大根の種を播いていた。大根の場合は地下30センチまで深く耕すのがよいらしく、「十耕」「十耕」と講師は言っていたのが印象に残…
○冬もみじ最後の一葉機を逃す (ふゆもみじさいごのひとはきをのがす) 最後の一葉 ハナミズキの紅葉は大方が散ってしまったが、残っている二、三枚が雨に濡れて寒そう。 近頃はみんな内に閉じこもって会う機会もないが、近隣に同年配は多くいて誰彼の顔が浮…
○朝寒や朝餉の粥を吹き零す (あささむやあさげのかゆをふきこぼす) 芋粥 朝お粥さんを炊くことが多くなった。時にサツマイモを骰子切りにして入れるのであるが、温かくて甘くて実に美味しい。 ただ、必ずといっていいくらい、鍋から吹き零してしまうのが私…